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「妹ができました。」百合漫画をレビューしたい

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  • 作者:芥文絵
  • 巻数:全1巻
  • 初版:2015年
  • 分類:GL、短編集

「芥文絵」様作の百合漫画「妹ができました。」のレビューもとい感想です。できるだけ注意して書きましたがネタバレあるかもしれません。

淡い絵柄がとても素敵な作者様ですね。線のタッチが繊細で、特に泣き顔が印象に残っています。

さて、短編集ですので主だったストーリーについてそれぞれ簡単にまとめようと思います。

妹ができました。

表題作の短編。親の再婚を機に一つ家で暮らすことになった義理の姉妹の物語。天真爛漫な姉の「梓」が新しくできた妹の「咲」と仲良くなるため空回りしつつも奮闘します。

一歩々々段々と距離が縮まっていくのが伝わってきて読んでいてほっこりしました。惚れた瞬間というと語弊がある気もしますが、咲のそんな感じの描写がでてくるんですよ。頬が緩みっぱなしで大変でした。

卒業の日

中学卒業を控えた親友の二人が空き家に忍び込んで最後に語り明かす物語。どんなに仲の良かった友人でも、生活環境の変化等で一旦会わなくなると嘘みたいに疎遠になってしまうことが往々にしてありますが、二人が恐れているのもそれのようです。

ありふれたことと言ってしまえばそれまでですが、二人にとって中学時代の思い出はどのようなものになるのか。十年後の話が読みたくなるような短編でした。

そうして私たちは

黒いもやをまとう奇妙な転校生「伏子」と彼女のもやにただ一人気付いている友人「優」の物語。個人的には一番好きですが、謎が多く割とぶっ飛んだ短編でした。

伏子との関係に徐々に囚われていく優が何とも言えない。傷口を舐めるシーンが出てくるのですが背徳的な感じがこれまた何とも。

私の好きなあの子のこと

シリアスめの前後編に別れた短編。高校以来の友人「椿」と「菜央」の物語。同じ大学に進学した両者でしたが、ある日椿が菜央に恋人の女性「佐伯理恵子」を紹介されたことをきっかけに二人の関係が変化し始めます。

ネタバレになるのであまり詳しく書けませんが、それぞれの想いが交錯し胸が苦しくなりましたがグッときました。好きになったからこそ色々考えてしまうということですよね、きっと。

たゆみなく生きよ

同棲を始めて一年経ったカップル「うた」と「ちなつ」の物語。同棲当初は幸せ満杯だった二人ですが、日々のちょっとしたすれ違いが積もり重なり、一年後の二人の関係はギクシャクしてしまっています。

私はあまりこういう話は読んだことがなかったので、かなりお気に入りの一篇です。特にラストが好きです。人と人が一緒に暮らして何もかも順風満帆にとはやはり行かないですよね。困難を乗り越えた先でいつかこの頃を思い出す日も来るのでしょう。

私の愛する河野さん

同じ職場の同僚「三木」と「河野」の物語。自他共に認める仲良しの二人ですが、三木は河野への好意を冗談じみた言動の中に隠しています。

望み薄と分かっていても期待してしまい、それで悩んで一杯々々になってしまう。胸がキュッとなります。良いですね。作中では描かれていませんがラストから考えるに河野さんも悩んでいたのではないかなぁと。

まとめ

冒頭でも触れましたが、繊細な絵のタッチで特に心理描写が胸に残りました。切ない話もあり、心温まる話もあり、謎に満ちた話もありとバラエティに富んだ短編集で、全体を振り返ってみれば百合ってやっぱり良いなぁと思える一冊です。